同位体環境学がえがく世界

研究項目3. 国立歴史民俗博物館

  • 樹木の年輪には、生育時の大気の情報が保持されています。年輪セルロースの酸素同位体比(δ18O)は当時の夏の降水量を反映します。日本列島各地の樹木において網羅的な測定をして、各地域の降水量変動の復元を目指します。
  • 年輪セルロースのδ18O測定データを集成し、年代測定のものさしである「マスタークロノロジー」を整備して、酸素同位体比年輪年代法の実施範囲の拡充を図ります。また、年輪年代の判明した日本産樹木の放射性炭素(14C)を1年輪ずつ測定して、文化財の高精度年代測定の基盤となる「日本版較正曲線」の整備を目指します。
  • 宇宙線イベントによる14C濃度の急増が記録された樹木年輪を各時期に検出し、それを用いた誤差0年の年代測定を実施します。
  • 遺跡発掘調査報告書放射性炭素年代測定データベース」は、日本各地で実施された放射性炭素年代測定の報告書を検索できます。遺跡情報と年代、同時に測定された資料の炭素・窒素の安定同位体比などを結びつけた、時空間マップの整備が期待されます。
  • 以上の成果を踏まえた、同位体による年代・古気候・交流史研究を行います。