同位体環境学がえがく世界

実例をみてみる

はちみつに混ぜ物!だまされた〜!

総合地球環境学研究所の研究員がフィリピンのお土産で、はちみつを購入。 しかし、冬になっても固まらないことに疑問を感じ、同所の同位体分析装置で調べたところ、そのはちみつは、ほぼサトウキビでできていたことが判明。

物質に含まれる時間軸:生まれ年のワイン

総合地球環境学研究所の教授が祝賀会で、本人生まれ年のワインをプレゼントされた。本当かどうか知りたい教授は、実際にワインの年代を調べたところ、本当に生まれ年のワインであることが判明。

髪の毛からわかるあなたの食生活

髪の毛の同位体を調べることで、その人の食生活を知ることができる。総合地球環境学研究所で行われた研究により、過去~現在の日本人の食生活の変遷、および外国との違いをみることができる。

千の水をとって~千点の水の調査からわかったこと

愛媛県西条市の西条平野では、地下水の塩水化が問題となっていました。水質を広域的に調べるために、西条市と総合地球環境学研究所によるプロジェクト「千の水をとって」が発足し、市民の協力で3か月で約1000地点の地下水を採取し、 …

忍野八海の水はどこからきているか?
みえない地下水の流れを知りたい

山梨県忍野村では、地下水保全のために、忍野村役場、村の住民の方々、総合地球環境学研究所の研究者とともに、村内の地下水がどこからきたか(涵養標高)、地下水がどのように流れているか(流動、水みち、水脈)を調べています。 山梨 …

自分の家の井戸水はどこからきているか?

福井県大野市は地下水が豊富で、古くから城下町として水の管理が仕組化されてきた地域です。 現在も、家庭の80%が井戸水を利用しています。 市では、地域おこしや中長期的な水政策の中で、科学的な調査を進めており、井戸水と河川の …

兵庫県千種川流域「住民主体の一斉水温調査が原動力となった河川環境解明の取り組み」

兵庫県西部に位置する千種川流域では、地元住民の手による「千種川一斉水温調査」が2002 年から毎年続けられています。調査を継続していくことで、 「支流ごとの水温分布」「瀬と淵の重要性」「湧水の存在」など、様々な発見が蓄積 …

滋賀県野洲川流域「野洲川のリンはどこからきているの?」

リンは、生き物に欠かせない栄養元素のひとつです。しかし、人間活動によってリンが大量に河川に流出すると、富栄養化や赤潮、アオコの原因になることがあります。富栄養化や水質悪化などの問題を解決するためには、河川へのリン起源を特 …

フィリピン、シラン・サンタローザ、
上流・下流のみんなで守る水のつながり
ー地下水の窒素汚染の「見える化」を契機としてー

総合地球環境学研究所 栄養循環プロジェクト(2013年~2020年) フィリピンのラグナ湖のシラン・サンタローザ流域は、急速な経済成長と人口増加が起こっており、経済開発によって下流域の河川環境の悪化と生物多様性の低下が深 …

水源かん養林の水循環の全体像ってどうなっているの?
~神奈川県の水源環境を保全・再生するために

神奈川県では、水源環境を保全・再生する取り組みとして、森林管理事業を行い、その水循環への効果を調べるために、数haの試験流域で水文モニタリング調査を長期的に行っていました。 研究成果を県民の皆様に説明するには、数haの試 …

同位体とは

「理科」的にいうと、 同位体とは、陽子の数が同じで、中性子の数が異なっている原子どうしのこと ©あるがゆう

軽元素同位体

山に降った雨水は、地下水になって私たちが飲む水にもなりますが、 同位体を使うと、その地下水が、山のどの標高に降った雨かわかります。 ©あるがゆう

重元素同位体

金属にも同位体があって、岩石ができた年代などがわかります。

元素濃度

水が地球上を循環するとき、色々な元素が水に溶け込み、水の特徴が生まれます。

地下水流動研究におけるマルチトレーサーの活用法

同位体や水質組成など複数のトレーサーを活用すること(マルチトレーサー法)により、地下水の流れを詳細に把握することができます。

同位体地図

同位体比の分布地図を作ると、場所による同位体比の違いがわかります。

トレーサビリティ(追跡可能性)

同位体のもつ追跡能力を使うと、汚染源が特定できたり、作物の産地判別ができたりします。

地下水や湧水の水源までさかのぼる

福島県沿岸域から内陸部を対象とした地下水流動研究の一環として、同地域の地下水や湧水の涵養標高を求めるために、2014年4月から2015年3月までの1年間、標高の異なる4地点で降水を採取し、それらの安定同位体比と標高の関係 …

天気予報に新情報!「その雪、どこからの雪?」

青森県弘前市は、日本海側の豪雪地帯に位置する、落ち着いた城下町です。日本海側の豪雪は、日本海から蒸発した水を含んだ冬季季節風が、脊梁山脈により強制上昇してもたらされるという見解が一般的です。しかし実際にはそれだけでなく、 …

国内有数の積雪による水資源をもつ
阿賀野川流域に降る雪の起源は?
ー同位体の導く流域の雪の特徴ー

積雪は「恩恵」と「被害」の正負の影響を与えます。この影響の将来像を予測して、生活や環境の持続可能性を考えなければなりません。そのため、現在、将来の降雪、積雪の「量」と「質」に示される地域の特徴を明らかにし、将来の変化に対 …

地下水はどこからきたの?
酸素と水素の同位体比から調べる扇状地地下水の源

日本の低地の約半分は扇状地地形となっていて、この扇状地内では河川水を利用した水田農業が行われています。多くの扇状地では、河川水や水田の水が浸透し地下水になります。扇状地内地下水が、河川の水か、水田の水のどちらの水によって …

今こそ見直そう!水循環における水田の役割

水田の広がる多くの流域では、かんがい用水として河川から多量に取水される一方、圃場から河川への還元も多く、水田農業は河川流況に大きな影響を及ぼし得ると考えられます。近年、特に日本では農地の減少が進んでおり、これに伴い河川流 …

大阪平野に眠る地下水 3次元でまるわかり

現在の降水を起源とする地下水は、適正に利用すれば、枯渇することのない再生可能な水資源です。そのような地下水が大阪平野のどの深度まで、また、どの程度の広がりを持って分布しているのか、3次元マップで示します。大阪平野は最大深 …

水循環Diversity -シベリアの河川の謎-

未知なる大地・シベリア。その水循環過程は永久凍土の存在もありやや複雑で、水文システムの把握と将来変化予測は地球の温暖化・気候変動を考える上でとても重要です。シベリアを流れ北極海へ注ぐレナ川とインディギルカ川を例に、水同位 …

ケニア山「熱帯の氷河」が消滅の危機。
山麓の水資源はどうなる?

氷河縮小が進むケニア山で、山麓の水資源の涵養標高と地下水の年代測定を行いました。氷河融解水、河川水、湧水、降水を採水し、それぞれの酸素同位体比を分析した結果、麓の河川水・湧水は氷河が存在する標高帯(河川水:約4,600m …

季節風が豊かな恵みと同時に汚染物質も運んできます

日本では、冬になると北風が吹いてきます。日本の北西方向、ユーラシア大陸のシベリアから吹き付ける冬季の季節風は、私たちに豊かな恵みをもたらす一方で、大陸で発生した大気汚染物質を運んできます。複数の元素の同位体を測定すること …

コケ、3つの元素から大気汚染を語る

東アジアの国々から日本へは、西風にのって大気汚染物質(越境大気汚染)や黄砂が多く飛来し、生態系や健康へ与える影響が懸念されています。そこで、本研究でコケの窒素(N)、鉛(Pb)、ストロンチウム(Sr)の安定同位体比(以下 …

森林のカルシウム不足を火山灰が救う

酸性雨の生態系影響は、欧米では湖沼から魚がいなくなり森林が枯損するといった被害が問題となりましたが、日本ではそのような影響は認められていません。それはなぜかを調べるために、本研究では土壌のカルシウムに注目しています。土壌 …

沿岸域の地下水
-同じ深さの水質は、海からの距離で変わる?-

仙台市宮城野区の沿岸付近で、浅井戸1か所(深度3.1 m)、深井戸5か所(深度約30 m)と水路の調査を、2018年12月から毎月実施しています。採取した水試料のイオンクロマトグラフと水の酸素・水素同位体比の分析結果から …

農地塩類の起源に迫る

乾燥地域のかんがい農地では、適切な水管理を行わないと土の表面に塩類が集積し、作物が育たなくなります。農地にはさまざまな起源をもつ水や塩類が供給されます。 農地からの排水中には,農地に供給された水や物質が排出されます。そこ …

カンボジアのトンレサップ湖の水はどこから来たの!?

カンボジアにあるトンレサップ湖では、富栄養化や過剰漁獲等による環境・生態系の変化が懸念されています。そのトンレサップ湖の水や元素の供給源として、メコン河等の河川がどれだけ貢献しているのか調べました。湖水や河川水を採取し、 …

資源開発における環境負荷低減のための同位体研究

我々の生活に必要不可欠な様々な資源を採掘すると、周辺の住民の健康や生態系に重大な影響を及ぼすことがあります。資源開発における環境負荷を低コストで抑えるためには、坑廃水や汚染河川での金属元素の起源や挙動を正確に理解する必要 …

高山サバイバル術ーハイマツの霧を使った生き方ー

霞を食べて生きていく、という表現がありますが、霧の発生頻度が高い日本の高山帯では、霧を水資源として利用している植物も多いと考えられます。ハイマツ(Pinus pumila)は日本の中部山岳を分布の南限とし、高山の森林限界 …

雨と森林は良い関係?:大気からくる硝酸イオンを追跡する

森林は一般に窒素が植物にとって足りない生態系と考えられています。ですので、降水でもたらされる窒素は森林で使われて(きれいになって)、図中の左のようにほんの少ししか窒素は森林から流れ出ないと予想されてきました。しかし本当は …

メタボ化した森のお残し窒素は、
土地利用・地形を活かしてお掃除! 

福岡市近郊の森林では、大気からの窒素降下物の増加と人工林の高齢化によって、樹木に利用しきれない窒素が硝酸イオン(NO3–)として渓流水に流れ出しています(森林の窒素飽和)。しかし、下流に行くにつれて河川水中の …

世界に役立つ水田土壌の有機物保護力! ヒミツは鉱物?

水田の土壌有機物は、水稲収量を向上させるとともに地球温暖化の抑制にも寄与しています。有機物が分解されないのは、土壌団粒中に閉じ込められたり土壌鉱物に吸着されたりして、「保護」されているためです。そこで、保護の仕組みによっ …

都市の大気汚染と街路樹
〜炭素安定同位体によるストレス診断〜

大気汚染のレベルは、日本では低下してきているものの、都市の中心部では依然として深刻です。都市に植栽されている街路樹には大気汚染物質を吸着してくれるなどの多くの機能があります。しかし、街路樹自身が大気汚染物質の悪影響を受け …

花咲かクマさんといじわるクマさん?
クマたちの種まきがサクラやサルナシの運命を左右する

地球温暖化が大きな問題となっていますが、自分で移動できる動物とは異なり、植物は自分では移動できません。 しかし、果実を食べた動物が種子を運んでくれれば、次世代はより好適な場所へ移動できるかもしれません。 研究の結果、ツキ …

骨が記憶する過去の生態系

動物の骨を使った同位体食性分析手法は、特定の動物の食べ物が過去から現在までの間にどのように変化したかを調べる上で有用なツールです。 上の図は、北海道に生息するヒグマを対象に、過去数千年間で彼らの食べ物がどのように変化した …

何を食べているの?
アミノ酸の窒素同位体からひも解く生き物の暮らし

最近になり、グルタミン酸とフェニルアラニンという2種類アミノ酸の窒素同位体比を測定することによって、生き物の正確な栄養段階を推定できることがわかってきました。この方法は未知の生態系における食物網解析に役立つだけでなく、琵 …

同位体比が解き明かすサケの回遊経路

サケの背骨に記録されている、過去の“窒素同位体比”の履歴と、北太平洋における窒素同位体比の分布地図を比較することで、サケの回遊ルートを推定しました。サケは、成長に伴って北太平洋を北上し、最終的にベーリング海東部の大陸棚に …

魚の骨の鉛同位体から、生息する海域を特定できるか?

近年の気候変動などの海洋環境の変動により、魚の生息場所が移動し、漁獲量に大きな影響を及ぼしています。水産資源を持続的に利用していくためには、水産資源量を把握することや、生育場・回遊場などの把握が重要です。 本研究では、生 …

最新研究のぞき見!長距離移動する昆虫

近年、数百kmから1,000kmを超える長距離を移動する昆虫の安定同位体比を調べてみると様々な値を示すことが分かってきました。水素の安定同位体比では大陸の南北方向の移動が分かり、地質年代の異なる生息地域の虫はストロンチウ …

古代の海産魚はどこの海から運ばれたのか?

遺跡から出土する魚骨によって、当時さまざまな魚が食べられていたことを知ることができます。海から遠く離れた内陸部の遺跡でも多くの海産魚が確認され、沿岸部から運ばれたことが読み取れます。しかし、魚骨の形態では産地を明らかにす …

縄文人の歯が命!?縄文人の集団間の移動を調べる

縄文人は、約16500~2300年前の日本で、狩猟・採集・漁労をなりわいとしていました。社会的な風習として、故意に歯を抜く抜歯風習がありました。歯を抜く二つのパターンは、縄文人の移動と関係があると考えられてきました。この …

現代(いま)と違う!?
古代の犬はどんな餌を食べていたのか?

遺跡から出土する犬骨から、その犬が摂取した大まかな食物(餌)を知ることができます。同じ遺跡から出土する人骨の摂取食物情報と比較することで、過去の人と犬の関わり合いが見えてきます。昔の人々は現代人と同様に何か特定のドッグフ …

リャマとアルパカ ―アンデス文明動物飼育物語―

先スペイン期のアンデス社会では、リャマとアルパカが様々な用途で使われていました。元々は高地高原に生息していた野生動物が、いつ・どのように家畜として広がっていったのか、まだ全容は明らかになっていません。 骨や歯の同位体比に …

トウモロコシが彩る古代アンデスの台所 

古代人の食べ物の推定には様々な方法がありますが、同位体分析を用いると、一人一人の食べた物を調べることができます。ヒトの食物となる動植物は、光合成回路の違いや栄養段階の違いから、異なる炭素同位体比と窒素同位体比を有するいく …

安定同位体を用いた身元不明者の出身地推定法の開発

わが国では、年間約8万人を超える行方不明者がいらっしゃいます。その多くは無事に発見されますが、不幸にも亡くなる方もいらっしゃいます。特に、身元を明らかにする所持品を残さず亡くなる方の身元を明らかにするのは非常に難しいこと …

呼び覚ませ!氷河の記憶 -シルクロードの気候変動-

極地や高山に分布する氷河は、過去数百から数万年にわたって毎年雪が積もり重なって形成されたものです。氷河の中に保存された雪の年輪を掘削して得た円柱状の氷の試料を、アイスコアといいます。アイスコアの氷の構成する水の安定同位体 …

海水の由来の変化から日本海の知られざる歴史を解き明かす

海水のネオジム同位体比は、海域ごとに特徴的な値を持っているため、海水のネオジム同位体比を分析することで、海水の移流や海水の混合を化学的に捉えることができます。現在の海洋であれば、ネオジム同位体比を用いなくても、物理観測や …

試料が少ない時はコレ! 微量同位体分析手法

安定同位体比は、多様な自然の中の物質の動きを研究するのに適した便利なツールです。しかし大きな自然は目に見えない小さな物質が多数集まった複雑な混合物でもあるので、そのまま測定するのではなく、あらかじめ個々の物質に分けてから …

日本海に沈む微量金属たちの産みの親は誰?

海水中の微量な金属の中には、海洋に生息する植物プランクトンに必須もしくは毒性を示すものがあります。この微量金属は、岩石の風化・浸食および人間活動による放出によって大陸から海洋へ運ばれ、海水中で粒子となって、海底堆積物へと …