同位体環境学がえがく世界

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兵庫県千種川流域「住民主体の一斉水温調査が原動力となった河川環境解明の取り組み」

住民側 千種川圏域清流づくり委員会 2002年~現在

兵庫県千種川流域に暮らすYさんは、流域全体を感じられるような取り組みとして、たくさんの生き物がくらす千種川の「健康診断をしたい!」と考えました。

2002年から、毎年8月の第一日曜日に全流域約100地点で地元の住民主体による一斉水温調査をスタート。この調査では、膝まで川に入って水温を測るので、参加者が千種川の状態を肌で実感することができます。

調査をはじめるまでは、なんとなく感覚的に思い込んでいたことが、一斉水温調査を継続していくことで様々な発見が蓄積されています。「水生生物の生存を脅かすような高水温域の存在」、「支流ごとの水温分布」、「瀬と淵の重要性」、「湧水の存在」など

2015年からは、総合地球環境学研究所と神戸大学が参画をはじめ、そこで得た科学的知見は住民の方々に共有されています。今後の川や生物の生息環境を守る活動へ活かされています。

©あるがゆう

兵庫県西部に位置する千種川流域では、地元住民の手による「千種川一斉水温調査」が2002 年から毎年続けられています。調査を継続していくことで、 「支流ごとの水温分布」「瀬と淵の重要性」「湧水の存在」など、様々な発見が蓄積されています。

総合地球環境学研究所は2015 年より神戸大学とともにこの調査に参画し、水の詳細な化学分析を通して千種川の水環境の解明を目指しています。これまでに、カルシウムイオン、塩化物イオンなどの主要イオンの濃度を調べ、水質としての千種川の特徴を明らかにすることができました。また、様々な人間活動から川に排出される硝酸イオンについて、川の中の硝酸イオンがどこからきたか?を、硝酸イオンの窒素・酸素安定同位体比を用いて調査しています。地元住民による調査が原動力となり、千種川の水環境についてさまざまなことが明らかになってきました。

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