リャマとアルパカ ―アンデス文明動物飼育物語―
先スペイン期のアンデス社会では、リャマとアルパカが様々な用途で使われていました。元々は高地高原に生息していた野生動物が、いつ・どのように家畜として広がっていったのか、まだ全容は明らかになっていません。
骨や歯の同位体比には、その動物が育った地域の情報や、食べた物の情報が残されています。遺跡から出土する動物骨の同位体分析を行うことで、家畜飼育の有無が推定できます。
ペルー北部高地のパコパンパ遺跡で出土した動物骨を分析した結果、紀元前700年頃から遺跡周辺でのラクダ科動物の飼育が開始されたことが明らかとなりました。この研究は、アンデス地域の神殿遺跡でリャマ・アルパカの飼育が伝播した瞬間を捉えた最も古い事例の一つとなりました。