同位体環境学がえがく世界

同位体でわかること

マングローブは未だ健在? フィリピン内湾で食物連鎖を支えるものたち

フィリピンにあるバタン湾は半閉鎖的な湾で粗放的な養殖池に適しています。90%以上のマングローブ面積を失ったバタン湾ですが、湾内の食物連鎖を支える一次生産者は何なのか、湾内の水底の有機物(底質)の起源を推定するために安定同位体比を使いました。分析の結果、河川付近の有機物の起源は陸生植物と植物プランクトンが多く、湾奥では陸生植物と底生微細藻類が多く、湾口付近ではそれらの有機物が均一に混合していました。多くのマングローブが養殖池に転換されたバタン湾ですが、湾の構造によりマングローブ植物を含む陸生植物が底質の有機物起源として貢献していることが分かりました。

各生態区分タイプにおける底質の有機物起源の混合割合

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