同位体環境学がえがく世界

「水循環」の検索結果

地下水や湧水の水源までさかのぼる

福島県沿岸域から内陸部を対象とした地下水流動研究の一環として、同地域の地下水や湧水の涵養標高を求めるために、2014年4月から2015年3月までの1年間、標高の異なる4地点で降水を採取し、それらの安定同位体比と標高の関係 …

じわり、地下水、何年モノ? 福島県沿岸域の調査事例

福島県沿岸域の地下水や湧水、自噴井を対象として、クロロフルオロカーボン類(CFCs)や六フッ化硫黄(SF6)を測定して滞留時間を指定した結果、湧水と地下水の滞留時間は約15年~45年の範囲、自噴井の滞留時間は約50年~7 …

ミネラルウォーターから見える気候変動

ふとしたきっかけで、日本中の地下水を集めて水同位体比を測定してみようと思い立ちました。対象は市販のミネラルウォーターです。近所のスーパー、コンビニを巡ると、意外と種類が集まります。イマドキ、ネットでも色々購入できます。出 …

天気予報に新情報!「その雪、どこからの雪?」

青森県弘前市は、日本海側の豪雪地帯に位置する、落ち着いた城下町です。日本海側の豪雪は、日本海から蒸発した水を含んだ冬季季節風が、脊梁山脈により強制上昇してもたらされるという見解が一般的です。しかし実際にはそれだけでなく、 …

国内有数の積雪による水資源をもつ
阿賀野川流域に降る雪の起源は?
ー同位体の導く流域の雪の特徴ー

積雪は「恩恵」と「被害」の正負の影響を与えます。この影響の将来像を予測して、生活や環境の持続可能性を考えなければなりません。そのため、現在、将来の降雪、積雪の「量」と「質」に示される地域の特徴を明らかにし、将来の変化に対 …

地下水はどこからきたの?
酸素と水素の同位体比から調べる扇状地地下水の源

日本の低地の約半分は扇状地地形となっていて、この扇状地内では河川水を利用した水田農業が行われています。多くの扇状地では、河川水や水田の水が浸透し地下水になります。扇状地内地下水が、河川の水か、水田の水のどちらの水によって …

今こそ見直そう!水循環における水田の役割

水田の広がる多くの流域では、かんがい用水として河川から多量に取水される一方、圃場から河川への還元も多く、水田農業は河川流況に大きな影響を及ぼし得ると考えられます。近年、特に日本では農地の減少が進んでおり、これに伴い河川流 …

大阪平野に眠る地下水 3次元でまるわかり

現在の降水を起源とする地下水は、適正に利用すれば、枯渇することのない再生可能な水資源です。そのような地下水が大阪平野のどの深度まで、また、どの程度の広がりを持って分布しているのか、3次元マップで示します。大阪平野は最大深 …

水循環Diversity -シベリアの河川の謎-

未知なる大地・シベリア。その水循環過程は永久凍土の存在もありやや複雑で、水文システムの把握と将来変化予測は地球の温暖化・気候変動を考える上でとても重要です。シベリアを流れ北極海へ注ぐレナ川とインディギルカ川を例に、水同位 …

ケニア山「熱帯の氷河」が消滅の危機。
山麓の水資源はどうなる?

氷河縮小が進むケニア山で、山麓の水資源の涵養標高と地下水の年代測定を行いました。氷河融解水、河川水、湧水、降水を採水し、それぞれの酸素同位体比を分析した結果、麓の河川水・湧水は氷河が存在する標高帯(河川水:約4,600m …

季節風が豊かな恵みと同時に汚染物質も運んできます

日本では、冬になると北風が吹いてきます。日本の北西方向、ユーラシア大陸のシベリアから吹き付ける冬季の季節風は、私たちに豊かな恵みをもたらす一方で、大陸で発生した大気汚染物質を運んできます。複数の元素の同位体を測定すること …

沿岸域の地下水
-同じ深さの水質は、海からの距離で変わる?-

仙台市宮城野区の沿岸付近で、浅井戸1か所(深度3.1 m)、深井戸5か所(深度約30 m)と水路の調査を、2018年12月から毎月実施しています。採取した水試料のイオンクロマトグラフと水の酸素・水素同位体比の分析結果から …

定点データが直下型地震の地下水の異変を捉えた!

私たちが利用している地下水の水質は、さまざまな人為的・自然由来の要因により影響されています。2016年に熊本で発生した内陸直下型地震では(図b☆印)、震源地周辺の地下水面の低下や涵養域での水位上昇などが認められました。元 …

農地塩類の起源に迫る

乾燥地域のかんがい農地では、適切な水管理を行わないと土の表面に塩類が集積し、作物が育たなくなります。農地にはさまざまな起源をもつ水や塩類が供給されます。 農地からの排水中には,農地に供給された水や物質が排出されます。そこ …

高山サバイバル術ーハイマツの霧を使った生き方ー

霞を食べて生きていく、という表現がありますが、霧の発生頻度が高い日本の高山帯では、霧を水資源として利用している植物も多いと考えられます。ハイマツ(Pinus pumila)は日本の中部山岳を分布の南限とし、高山の森林限界 …

安定同位体を用いた身元不明者の出身地推定法の開発

わが国では、年間約8万人を超える行方不明者がいらっしゃいます。その多くは無事に発見されますが、不幸にも亡くなる方もいらっしゃいます。特に、身元を明らかにする所持品を残さず亡くなる方の身元を明らかにするのは非常に難しいこと …

水源かん養林の水循環の全体像ってどうなっているの?
~神奈川県の水源環境を保全・再生するために

神奈川県では、水源環境を保全・再生する取り組みとして、森林管理事業を行い、その水循環への効果を調べるために、数haの試験流域で水文モニタリング調査を長期的に行っていました。 研究成果を県民の皆様に説明するには、数haの試 …