同位体環境学がえがく世界

「生き物」の検索結果

コケ、3つの元素から大気汚染を語る

東アジアの国々から日本へは、西風にのって大気汚染物質(越境大気汚染)や黄砂が多く飛来し、生態系や健康へ与える影響が懸念されています。そこで、本研究でコケの窒素(N)、鉛(Pb)、ストロンチウム(Sr)の安定同位体比(以下 …

マングローブは未だ健在? フィリピン内湾で食物連鎖を支えるものたち

フィリピンにあるバタン湾は半閉鎖的な湾で粗放的な養殖池に適しています。90%以上のマングローブ面積を失ったバタン湾ですが、湾内の食物連鎖を支える一次生産者は何なのか、湾内の水底の有機物(底質)の起源を推定するために安定同 …

雨と森林は良い関係?:大気からくる硝酸イオンを追跡する

森林は一般に窒素が植物にとって足りない生態系と考えられています。ですので、降水でもたらされる窒素は森林で使われて(きれいになって)、図中の左のようにほんの少ししか窒素は森林から流れ出ないと予想されてきました。しかし本当は …

COVID-19で変わる都市と街路樹 ~炭素安定同位体による大気汚染ストレス診断~

2020年から始まったCOVID19の流行は産業活動の停滞をもたらしました。産業活動が停滞すると大型車の交通量が減少するので、排出される大気汚染物質が減少し、大気汚染が緩和される可能性があります。街路樹であるヒラドツツジ …

花咲かクマさんといじわるクマさん?
クマたちの種まきがサクラやサルナシの運命を左右する

地球温暖化が大きな問題となっていますが、自分で移動できる動物とは異なり、植物は自分では移動できません。 しかし、果実を食べた動物が種子を運んでくれれば、次世代はより好適な場所へ移動できるかもしれません。 研究の結果、ツキ …

骨が記憶する過去の生態系

動物の骨を使った同位体食性分析手法は、特定の動物の食べ物が過去から現在までの間にどのように変化したかを調べる上で有用なツールです。 上の図は、北海道に生息するヒグマを対象に、過去数千年間で彼らの食べ物がどのように変化した …

何を食べているの?
アミノ酸の窒素同位体からひも解く生き物の暮らし

最近になり、グルタミン酸とフェニルアラニンという2種類アミノ酸の窒素同位体比を測定することによって、生き物の正確な栄養段階を推定できることがわかってきました。この方法は未知の生態系における食物網解析に役立つだけでなく、琵 …

同位体比が解き明かすサケの回遊経路

サケの背骨に記録されている、過去の“窒素同位体比”の履歴と、北太平洋における窒素同位体比の分布地図を比較することで、サケの回遊ルートを推定しました。サケは、成長に伴って北太平洋を北上し、最終的にベーリング海東部の大陸棚に …

魚の骨の鉛同位体から、生息する海域を特定できるか?

近年の気候変動などの海洋環境の変動により、魚の生息場所が移動し、漁獲量に大きな影響を及ぼしています。水産資源を持続的に利用していくためには、水産資源量を把握することや、生育場・回遊場などの把握が重要です。 本研究では、生 …

最新研究のぞき見!長距離移動する昆虫

近年、数百kmから1,000kmを超える長距離を移動する昆虫の安定同位体比を調べてみると様々な値を示すことが分かってきました。水素の安定同位体比では大陸の南北方向の移動が分かり、地質年代の異なる生息地域の虫はストロンチウ …

古代の海産魚はどこの海から運ばれたのか?

遺跡から出土する魚骨によって、当時さまざまな魚が食べられていたことを知ることができます。海から遠く離れた内陸部の遺跡でも多くの海産魚が確認され、沿岸部から運ばれたことが読み取れます。しかし、魚骨の形態では産地を明らかにす …

エモノの歯からわかった!縄文人の遺跡間交流

縄文人は、さまざまな資源を利用していました。遠い場所に移動してモノを運び、文化や技術を伝播させました。遠く離れた場所への移動だけでなく、食料資源獲得の活動域はどの範囲で、近隣の遺跡とのかかわりはどのようなものだったのでし …

現代(いま)と違う!?
古代の犬はどんな餌を食べていたのか?

遺跡から出土する犬骨から、その犬が摂取した大まかな食物(餌)を知ることができます。同じ遺跡から出土する人骨の摂取食物情報と比較することで、過去の人と犬の関わり合いが見えてきます。昔の人々は現代人と同様に何か特定のドッグフ …

リャマとアルパカ ―アンデス文明動物飼育物語―

先スペイン期のアンデス社会では、リャマとアルパカが様々な用途で使われていました。元々は高地高原に生息していた野生動物が、いつ・どのように家畜として広がっていったのか、まだ全容は明らかになっていません。 骨や歯の同位体比に …

トウモロコシが彩る古代アンデスの台所 

古代人の食べ物の推定には様々な方法がありますが、同位体分析を用いると、一人一人の食べた物を調べることができます。ヒトの食物となる動植物は、光合成回路の違いや栄養段階の違いから、異なる炭素同位体比と窒素同位体比を有するいく …

海水の由来の変化から日本海の知られざる歴史を解き明かす

海水のネオジム同位体比は、海域ごとに特徴的な値を持っているため、海水のネオジム同位体比を分析することで、海水の移流や海水の混合を化学的に捉えることができます。現在の海洋であれば、ネオジム同位体比を用いなくても、物理観測や …